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3Dプリンターのゴム素材とは?種類・特徴・選び方まで解説

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「3Dプリンターで、ゴムのように柔らかい部品は作れるのだろうか」——ガスケットやグリップ、緩衝材といった柔軟な部品の試作を検討するとき、多くの方がこの疑問に突き当たります。3Dプリンターのゴム素材は、方式や材料の選び方しだいで、曲がる・伸びる・衝撃を吸収するといった機能を持つ造形が可能です。本記事では、3Dプリンターで使えるゴム素材の種類、特徴とメリット・デメリット、代表的な用途、選び方、費用の目安までをまとめて解説します。






3Dプリンターのゴム素材とは



「ゴム素材」で作れるものの考え方



3Dプリンターにおける「ゴム素材」とは、造形後にゴムのような柔軟性・弾力性を示す材料の総称です。厳密な意味での加硫ゴムだけを指すのではなく、指で押すとへこみ、離すとすぐ元に戻る「ゴムらしさ」を持つ材料を幅広く含みます。



代表的なのは、FDM方式で使う柔軟フィラメントや、光造形で使うゴムライクレジンです。近年ではLAM方式によって、本物のシリコーンゴムを直接造形する技術も実用化されています。同じ「ゴム素材」でも、どの造形方式・材料を選ぶかで、得られる硬さや物性は大きく変わります。



TPE・TPU・エラストマーの関係を整理



ゴム素材を理解するうえで押さえておきたいのが、TPE・TPU・エラストマーという言葉の関係です。混同されやすいため、初めに整理します。



エラストマーとは、ゴムのような弾性を持つ高分子材料の総称です。このうち、熱を加えると軟化して成形でき、冷えると再び弾性を持つ状態に戻る材料を、熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic Elastomer)と呼びます。TPEはさらに、ウレタン系のTPU、スチレン系のTPS、オレフィン系のTPOなどに分類されます。



このなかで、3Dプリンター、とくにFDM方式で最も広く使われているのがTPU(熱可塑性ポリウレタン)です。つまり、TPEという大きな分類の中にTPUが含まれ、TPUはエラストマーの一種、という関係になります。本記事でも、フィラメントのゴム素材の代表としてTPUを中心に取り上げます。





3Dプリンターで使えるゴム素材・造形方式の種類



ゴム素材は、造形方式によって使える材料も特性も異なります。ここでは主要な4つの方式を紹介します。



FDM/FFF方式:TPU・TPEフィラメント



FDM(熱溶解積層)方式は、フィラメント(細い糸状の材料)を溶かして積み重ねる、最も普及している方式です。ゴム素材としてはTPUフィラメントが定番で、ゴムのような柔軟性と、耐摩耗性・耐衝撃性を併せ持ちます。



卓上機から扱えるため導入のハードルが低く、繰り返し曲げる部品や衝撃を受ける部品の試作に向いています。一方で、柔らかい材料ゆえに造形にはコツが必要です(詳細は第4章)。



光造形(SLA/DLP)方式:ゴムライクレジン



光造形方式は、光硬化性樹脂(UVレジン)に光を当てて一層ずつ硬化させる方式で、細かく滑らかな造形が得意です。ゴム素材としては、柔軟性と伸縮性を持つゴムライクレジンやエラストマーレジンが用意されています。



たとえばショア硬度80A前後のフレキシブルレジンは、硬めのゴムやTPUに近い柔軟性を持ち、曲げ・たわみ・圧縮を繰り返す環境での試作に適しています。表面がなめらかで細部の再現性が高いのが強みです。






  • RUBBER-65A BLKサンプル1




  • RUBBER-65A BLKサンプル2






粉末焼結(SLS)方式:TPUパウダー



SLS(粉末焼結)方式は、粉末状の材料にレーザーを当てて焼き固める方式です。TPUパウダーを使えば、柔軟なゴム部品を造形できます。



この方式では、造形中に未焼結の粉末が造形品を支えるため、サポート材が不要です。内部に空洞を持つ複雑形状や、格子状(ラティス)構造も造形でき、靴の中敷きや矯正装具、保護用パッドなど、圧縮特性を活かす用途に向いています。



LAM方式:本物のシリコーンゴム



従来、シリコーンゴムは粘度が高く3Dプリンターでの直接造形が難しいとされていました。近年はLAM(液体積層造形)方式により、液状シリコーンゴム(LSR)を直接積層して造形できるようになっています。



LAM方式では、熱硬化型のシリコーンゴムを素材とすることで、引張強度や伸びといった物性を金型成形品と同等に近づけられるとされます。金型を製作せずに複雑形状のシリコーン部品を作れるため、試作のスピードアップや、既存ゴム製品の置き換え検討に活用されています。国内メーカーによる装置・受託加工サービスも登場しています。








  • シリコンアーム




  • シリコンサンプル
















造形方式代表的なゴム素材特徴主な用途イメージ
FDM/FFFTPU・TPEフィラメント導入しやすい・柔軟で丈夫グリップ、緩衝部品、試作
光造形(SLA/DLP)ゴムライクレジン表面がなめらか・細部が精密パッキン試作、意匠部品
粉末焼結(SLS)TPUパウダーサポート不要・複雑形状可中敷き、装具、格子構造
LAM液状シリコーンゴム本物のシリコーン物性に近い医療・自動車・シール部品




ゴム素材(TPU)の特徴・メリット



ここでは、最も普及しているTPUを例に、ゴム素材の特徴とメリットを整理します。



ゴム素材(TPU)の4つの特徴を示す図解。柔軟・弾力、耐衝撃、耐摩耗性、硬度で選べる。



柔軟性・弾力性・耐摩耗性



TPUの最大の特徴は、ゴムのような柔軟性と弾力性です。曲げる・伸ばす・衝撃を吸収するといった動きに強く、繰り返し変形させても割れにくい靭性を持ちます。加えて耐摩耗性にも優れるため、擦れや接触の多い部品にも使われます。



硬質なPLAやABSでは実現できなかった「たわむ部品」を、金型を作らずに作れる点が、ゴム素材ならではのメリットです。



硬度(ショア硬度)で柔らかさを選べる



ゴム素材の柔らかさは、ショア硬度という指標で表されます。一般にショアA(軟質)とショアD(硬質)のスケールが用いられ、数値が低いほど柔らかくなります。



TPUフィラメントでは、ショア硬度90A・95A・98Aといった製品が流通しており、用途に応じて柔らかさを選べます。柔らかい素材ほど造形の難易度は上がる傾向があるため、必要な柔軟性と造形しやすさのバランスで選ぶとよいでしょう。





ゴム素材のデメリット・注意点



メリットの多いゴム素材ですが、導入前に知っておきたい注意点もあります。



造形の難しさ(詰まり・吸湿)



材料押出方式(FDM等)で用いられるTPUのような柔軟フィラメントは、通常のPLAやPETGとは扱いが異なります。材料が柔らかいため、速すぎる速度で出力するとノズル詰まりの原因になりやすく、通常より速度を落としてじっくり造形するのがコツです。



DLP方式においては、エラストマー系のレジンは、通常のレジンよりも粘度が高く、かつ流動性が低いため、レジンタンクや造形中の剥離動作で不具合が生じる場合があります。特にシリコーンゴムではプラットフォームからはがれ落下するリスクもあります。露光パラメーターの最適化や、分離強度・積層面の剥離特性などの調整がシビアです。造形中の落下防止のため、サポート材を多めにつける必要があり、柔らかい造形物はサポート材の取り外し時に変形や破損が起こりやすいため、設計・造形・後処理にも工夫が必要です。



また、TPUは湿気を吸いやすい(吸湿性が高い)性質があります。水分を含むと造形品質が落ちるため、乾燥剤とともに保管したり、ドライボックスで管理したりする対策が有効です。



「本物のゴム」と同じではない点



ゴムライクの材料は、あくまで「柔らかい形状を作るための素材」であり、一般的なゴム部品と同じ耐久性・気密性・水密性・耐熱性を必ず再現できるわけではありません。とくにパッキンやシール材のように密閉性が重要な部品では、造形方式や積層の状態によって性能が変わる点に注意が必要です。



本物のゴム物性が求められる場合は、LAM方式によるシリコーンゴム造形や、3Dプリンターで作った樹脂型にゴムを流し込む間接法(簡易型)を検討するとよいでしょう。





ゴム素材3Dプリントの主な用途



ゴム素材の3Dプリントは、柔軟性・弾力性を活かして幅広い分野で使われています。代表的な用途は次のとおりです。



ゴム素材3Dプリントの用途マップ。柔らかさ重視と強度重視、試作と最終部品の2軸で用途を配置した図解。





  • ガスケット・パッキンなどの機械のゴム部品や、頻繁に曲げられる部品

  • グリップ、チューブ、ホースなどの接触・把持部品

  • 自動車の内装部品(窓の干渉部、操作部など)

  • スポーツ用品、おもちゃ

  • 家電の防振パッド・クッション材などの緩衝・防振部品

  • 靴の中敷き、矯正装具、義肢カバーなどの身体に接する部品

  • シール・パッキンなど気密性が求められる部品(方式に注意)




試作段階での機能確認から、少量生産、最終部品まで、目的に応じて活用の幅が広がっています。





ゴム素材・造形方式の選び方



数ある選択肢から迷わないために、選び方の軸を整理します。基本は「必要な硬さ」と「用途・数量」の2軸で考えると絞り込みやすくなります。



まず硬さです。柔らかさが最優先なら低いショア硬度の素材や、シリコーン造形が候補になります。ある程度の硬さで丈夫さを求めるなら、TPU(90A〜98A)や硬めのゴムライクレジンが扱いやすい選択です。



次に用途・数量です。社内での機能試作や形状確認が中心なら、導入しやすいFDMのTPUが第一候補になります。表面のなめらかさや細部の精密さが重要なら光造形、複雑形状や格子構造ならSLS、本物のゴム物性や既存ゴム部品の置き換えが目的ならLAMのシリコーン造形、という整理です。



判断に迷う場合や、量産・機能部品での採用を見据える場合は、素材選定から造形まで対応できる3Dプリントサービスに相談すると、要件に合った方式・素材を提案してもらえます。





費用・価格の目安



導入コストは、内製するか、造形サービスを利用するかで大きく変わります。ここでは材料費とサービス利用の目安を紹介します。



ゴム素材3Dプリントの費用の目安を示す早見表。TPUフィラメント、ゴムライクレジン、シリコーン造形の価格帯を横バーで比較。



内製する場合、TPUフィラメントは1kgあたり数千円から一万円を超えるものまで幅広く流通しています。TPU素材自体の製造コストや加工の難しさが価格に影響し、大容量ほど単位あたりは安くなる傾向です。有名ブランド品や、特定の硬度・耐油性などの特殊機能を持つ製品は高めになります。光造形のゴムライクレジンも、標準的なレジンより高価な傾向があります。



一方、シリコーンゴムを直接造形するLAM方式は、装置・材料ともに産業向けで高額です。単発の試作や少量なら、装置を導入せず受託加工(造形サービス)を使うほうが、初期投資を抑えられるケースが多くなります。



※価格・型番・対応機種は時期や販売店により変動します。導入時は最新の公式情報をご確認ください。





よくある質問



3Dプリンターで本物のゴムは作れますか?



一般的な柔軟フィラメント(TPU)やゴムライクレジンは、ゴムに似た柔らかさを持ちますが、加硫ゴムと同じ物性を完全に再現するものではありません。本物に近いシリコーンゴムを直接造形したい場合は、LAM方式に対応した装置や造形サービスの利用を検討してください。



TPUとTPEはどう違いますか?



TPE(熱可塑性エラストマー)はゴムのような弾性を持つ材料グループの総称で、TPUはそのTPEの一種(ウレタン系)です。FDM方式ではTPUが広く使われ、製品名に表記されることも多くあります。



ゴム素材の造形が失敗しやすいのはなぜですか?



柔らかい材料は、出力速度が速すぎると詰まりやすく、湿気を吸うと造形品質が落ちます。速度を落としてじっくり造形し、乾燥状態で保管することが失敗を減らすポイントです。



柔らかさはどのくらい選べますか?



ショア硬度で調整でき、数値が低いほど柔らかくなります。TPUでは90A・95A・98Aなどが一般的で、より柔らかい低硬度の素材やシリコーンも選択肢になります。用途に必要な柔軟性から逆算して選びます。



少量だけ作りたい場合はどうすればよいですか?



装置を導入せずに、3Dプリントの造形サービスへ依頼する方法があります。素材選定から相談でき、用途に合う方式・硬度を提案してもらえるため、少量・試作では有力な選択肢です。





まとめ



3Dプリンターのゴム素材は、FDMのTPUフィラメント、光造形のゴムライクレジン、SLSのTPUパウダー、そしてLAM方式によるシリコーンゴムまで、方式ごとに幅広い選択肢があります。柔らかさ(ショア硬度)と、用途・数量を軸に選ぶことで、試作から最終部品まで柔軟な部品づくりが可能になります。一方で、造形の難しさや「本物のゴムとの違い」といった注意点もあるため、要件に応じた方式・素材選びが重要です。



SOLIZE PARTNERSでは、TPUをはじめとする多様な素材と造形方式に対応した3Dプリントサービスを提供しています。ゴム素材や柔軟部品の試作・少量生産では、用途に合った材料・硬度・造形方式の選定が仕上がりを大きく左右します。「どの素材・方式が最適か分からない」「本物のゴムに近い物性が欲しい」といった段階からでも、要件をお伺いし最適な造形方法をご提案します。柔軟部品の試作・製作をご検討の際は、ぜひSOLIZE PARTNERSにご相談ください。



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