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3Dプリンターの積層ピッチとは ~強度や品質に及ぼす影響、適切な設定方法を解説~

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3Dプリンターで求める品質の造形物を作るうえで重要なのが、「積層ピッチ」の厚みです。積層ピッチとは、造形する際の1層あたりの厚みのことで、造形の精度にも影響を与えます。


本コラムでは、3Dプリンターの積層ピッチに関する基礎知識や積層ピッチの設定方法、用途別の積層ピッチの選び方、積層ピッチを調整するポイントについて解説します。また、3Dプリントをプロに依頼できる便利な3Dプリント受託サービスもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。








3Dプリンターの積層ピッチについての基礎知識


はじめに、3Dプリンターの積層ピッチに関する基礎知識を解説します。積層ピッチによって造形物にどのような影響が生じるのか、基本から確認してください。


積層ピッチとは


「積層ピッチ」とは、3Dプリンターで造形する際に層を積み上げていく間隔のことで、1層あたりの厚みを表す用語です。厚みは機種や造形物の大きさによってさまざまですが、一般的には0.1mmから0.3mmが目安となります。なお、積層ピッチは「層の厚さ」「Z軸解像度」「レイヤーの高さ」などと呼ばれることもあります。



積層ピッチの値が及ぼす影響


積層ピッチは3Dプリンターの造形精度に影響する要素の一つです。3Dプリンターは薄い層を1層ずつ積み重ねて造形する仕組みのため、希望の仕上がりに適した積層ピッチの設定が重要です。



積層ピッチが大きい場合


積層ピッチが大きい場合は、1層ごとの積層段差が目出ちやすく、造形物の表面が粗く仕上がり、均一な面を得にくいのがデメリットです。一方で、必要な層数が少なくなるため造形時間が短くなるというメリットがあります。



積層ピッチが小さい場合


積層ピッチが小さい場合は、1層ごとの積層段差が目立ちにくく、造形物の表面が滑らかに仕上がるのがメリットです。一方で、必要な層数が増えることで造形時間が長くなる点はデメリットです。



積層ピッチと強度・造形品質の関係


積層ピッチと強度の関係 


積層ピッチが大きい場合は1層あたりが厚くなるため、積み重ねられた層同士の接触面積が減り、積層強度が低下します。


積層ピッチと造形品質の関係 


ここまでお伝えしたように、積層ピッチは強度や造形品質に影響を与えます。積層ピッチが小さいほど、造形物の表面は滑らかになります。ただし、造形品質には「3Dプリンターの設定」「使用材料」「出力速度」「造形環境」「温度」など、積層ピッチ以外の複数の要因も影響します。また、積層ピッチが小さいほど造形時間が長くなるため、求める品質とのバランスを考慮することが大切です。





3Dプリンターの積層ピッチの設定方法(熱溶解積層方式の場合)


ここでは、「熱溶解積層方式」の場合の3Dプリンターの積層ピッチの設定方法をご紹介します。熱溶解積層方式とは、糸状の材料(フィラメント)を、加熱されたノズルから溶かし出して立体物を造形する方式です。設定手順は以下のとおりです。



Step1.造形物のサイズに合わせてノズル径を決定する


まず、造形物のサイズに合わせて「ノズル径(フィラメントの噴出口の直径)」を設定します。ノズル径が小さいほど細かい造形が可能ですが、使用できるフィラメントが限られる場合があるため、ノズル径に適した素材を選ぶことが大切です。



Step2.ノズル径を決定したあとに積層ピッチを 設定する


次に、決定したノズル径に合わせて積層ピッチを設定します。一般的に、積層ピッチはノズル径の半分程度に設定することが多いです。たとえばノズル径0.4mmの場合、0.2mm程度の積層ピッチが推奨されます。これはN/L比(ノズル径÷積層ピッチ)が「2」となり、積層強度と造形時間のバランスがよいとされています。






【用途別】3Dプリンターの積層ピッチの選び方


3Dプリンターの積層ピッチは、用途に応じて適切に設定することが重要です。ここでは、用途別に積層ピッチの選び方をご紹介します。


観賞用フィギュア、撮影用小道具など 


観賞用フィギュアや撮影用小道具のように、積層段差によって見栄えが損なわれるのを避けたい場合は、1層あたりの厚みを薄く設定し、表面を滑らかに仕上げる必要があります。できるだけ小さい積層ピッチを選ぶことがポイントです。



試作品 


大まかな形状を把握する目的で試作品を造形する場合は、プリント品質と造形時間のバランスを考慮して積層ピッチを選ぶのが望ましいといえます。また、試作品の素材に合わせて適切な積層ピッチを選ぶことも大切です。



工業製品の内部パーツや治具など 


工業製品の内部パーツや治具のように、小型で積層強度が求められる場合は、積層ピッチをできるだけ小さくすることで強度を高めることが推奨されます。ただし、パーツや治具の試作品のように、それほど強度が求められない場合は、積層ピッチを大きめに設定して造形時間とのバランスをとってもかまいません。



大型の造形物 


大型の造形物は、積層ピッチを小さく設定すると造形時間が非常に長くなってしまいます。そのため、造形時間が長くなりすぎないよう配慮し、やや大きめの積層ピッチを設定するのが一般的です。また、場合によっては分割造形を検討するのも有効です。





3Dプリンターの積層ピッチ調整のポイント


3Dプリンターの積層ピッチを調整する際は、以下の点に注意する必要があります。必要に応じて、3Dプリント受託サービスの活用もおすすめします。


積層ピッチの調整と併せて後処理を行う 


造形物の表面を滑らかに仕上げるには、ノズル径との比率や造形時間を考慮しながら、できるだけ積層ピッチを小さく設定する必要があります。しかし、たとえ積層ピッチを小さくしても、積層段差が完全になくなるわけではありません。積層ピッチを小さくしても積層痕(段差によって生じる筋状線のこと)が目立つ場合は、表面をきれいにする「バリ取り」「やすりがけ」「ラッカースプレーの塗布」などの後処理が有効です。また、造形物の形状に合わせ、積層痕が目立ちにくい造形方向(造形姿勢)で出力することも有効です。



X-Y方向の精度も調整する 


3Dプリンターの造形品質を高めるためには、単に積層ピッチを小さくするだけではなく、X-Y方向の精度も調整することが大切です。Z(垂直)方向の精度に関わる積層ピッチに加えて、X(左右)方向とY(前後)方向の精度を高めるために、3Dプリンターの設定や造形環境も見直してください。



素材の収縮率に注意する


「熱溶解積層方式」の3Dプリンターでは、材料の樹脂が加熱されると膨張し、冷却されると収縮します。材料がノズルを出るときに膨張し、造形後冷やされたときに収縮するため、造形物の寸法に影響が生じやすい点に注意が必要です。そのため、できるだけ収縮率が低い素材を選び、造形環境の温度管理を徹底することで、寸法精度を高められます。



3Dプリント受託サービスを利用して、最適な積層ピッチで出力してもらう 


3Dプリンターで出力する精度を高めたい場合は、実績が豊富な3Dプリント受託サービスを利用するのも一つの方法です。サービスを利用すれば、造形物の形状や素材に最適な積層ピッチで出力してもらうことができ、希望する品質を実現できる可能性があります。その際は、3Dデータを用意するだけで、オンラインで注文できるサービスが便利です。





3Dプリンターの適切な積層ピッチの見極め が重要



ここまで、3Dプリンターの積層ピッチの設定方法や、用途別の積層ピッチの選び方、積層ピッチの調整のポイントをお伝えしました。3Dプリンターの造形品質には、積層ピッチのほかにもさまざまな要因が影響します。条件を整えて精度の高い造形物を作るには、3Dプリント受託サービスを利用するのも一つの方法です。



3Dプリンター出力サービスの「SOLIZEオンライン3Dプリント」は、業務用に適した「光造形方式」「粉末焼結方式」「インクジェット方式」などの幅広い方式に対応しています。また、材料のラインアップも豊富です。3Dデータをアップロードするだけで、自動的に3Dプリントが可能か評価する「自動3Dデータ評価システム」を備えています。このほかに、サポート材の除去まで依頼できる「光造形サポート除去サービス」もご用意しています。3Dプリントでお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせください。



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SOLIZEは、1990年に日本で初めて3Dプリンターを導入し、試作品製作サービスを始めた企業です。国内最大級のキャパシティーで、自社保有のハイエンド樹脂3Dプリンターでの製作を承ります。長年にわたる3Dプリンターの運用実績、販売や運用サポートの経験から豊富な知見を有しており、お客さまの3Dプリンティングを手厚くサポートします。



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  • SOLIZEオンライン3Dプリント お役立ち情報編集部


  • SOLIZEの3Dプリンター事業に従事する社員が、3Dプリンターの基礎知識や活用方法、活用例など、3Dプリンターに関する情報を発信します。





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