鋭角な形状といえば、工業製品だとフィンの先端形状や爪の先端部など。
フィギア系だと、指の先とか髪の毛の先端あたりで良く見られる形状ですね。
0接点(先の方が0の寸法で交差している)形状は、危険ですし、
どんな作り方をしても、先端部分まで完全に再現することは出来ないので、
基本的にもの作りの場においては、あまり良い形状とは言えないような気がします…
(あくまでも個人的な感想です)
3Dプリントでの造形でも同様で、ある程度以上の先端部分はそもそも再現出来ませんので、
必要がない鋭角形状は最初から作らないのが一番良いかもしれません。
とは言っても、尖った形状がどうしても作りたい場合も当然あります。
そういう時には、以下に説明する内容が役に立つのでは無いかと思います。
鋭角形状の再現のポイントは、簡単にまとめると2つ。
- Point1:鋭角形状を下面に持ってこない
- Point2:尖った形状を垂直にたてる
カンタンでしょう?
では、それぞれ詳しく説明していきます。
Point1:鋭角形状を下面に持ってこない
製品下部をサポートで支えて造形するー光造形では特に非常に重要です。
絵で見てもらうのが一番手っ取り早いかと思います。
見るからにサポートを取る際に製品を壊してしまいそうです!
まぁこれは鋭角形状に限らず、単に微細な形状の場合も同様です。
コネクターの端子なんかだと、端子のサイズとサポートのサイズが同じなんてことも・・・
という訳で、光造形では破損防止のために、必ず鋭角形状&微細形状は
天面に持ってくるような造形方向指定をしましょう!
理由はもう一つあります。
サポートが必要な光造形では今言ったよう理由は明らかなんですが、
粉末造形でも実は結構重要ポイントです。
積層造形の場合、仕組みにもよりますが、基本的に天面より底面の方が
造形品質は劣ります。
光造形を例えにして説明してみましょう。
改めて簡単に解説すると、光造形の仕組みとは、紫外線で硬化する液体状の樹脂に
紫外線レーザーを照射して、その部分だけ固めることで形を作っていく
というものです。
それを積層させることで立体的な形が出来る訳なんですが、
1層辺りは0.15mmとか0.1mmとか非常に薄いものです。
少し想像してもらえば直ぐ分かるとおもいますが、
レーザーを当てて、液体樹脂をピッタリ0.1mm分だけ固める
というのは、事実上不可能です(。-ω´-)
大体、2〜3層分は厚く出来てしまうんですね。
これを余剰硬化と言うんですが、意図的に硬化させた訳ではないので、
硬化品質がこの部分は少し劣ってしまいます。
単なる立方体のような単純な形状なら、大きな影響は出ないのですが、
鋭角な形状の場合、やはり先端部の形状のキレが若干劣った感じになります。
そう考えると、鋭角な形状に限らず、微細な形状は
よっぽどの事がない限りは、基本的に天面の方に持って行く。
これを間違えないようにしましょう。
Point2:尖った形状を垂直にたてる
ところで、先程説明した余剰硬化で余分に固まっちゃった2〜3層分は
その分「Z方向の厚み」にそのまま反映されてしまいますので、
実際に造形する際にはこれを防ぐ為、予めその2〜3層分を
スライスデータ作製時にカットして底上げしておく、ということをやってます。
こんな感じの処理をしてるんですね。これで計算上、寸法的な辻褄は合うはずですが…
処理を行う際に、例えば斜めの鋭角な形状などの場合、
どうしてもズレが出てしまいます。
例えばこんなケース。
数字にすれば、コンマ何ミリの誤差なのですが、
微細な形状の場合、このコンマ何ミリで形状が変わってしまったり、
形状が消失する場合もあります。
ですから、特に先細りの鋭角形状の場合は、
真っ直ぐに縦て造形してあげる事が、形状再現度ののUPも繋がるわけです。
そんな訳で、微細形状の再現について2回に分けてお送りしてきましたが、
少しでもお役に立てれば幸いです。
(中村)
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