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3Dプリンティングとは|手順や造形方式に関する基礎知識

3Dプリント

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製造業を中心に、さまざまな用途で3Dプリンティング技術が活用されるようになりました。その利便性のよさから、自社製品の試作や最終製品製作への活用を検討する企業や団体が増えています。
3Dプリンティング導入の是非を判断するためには、その仕組みや造形方式などを把握しておくことが重要です。本コラムでは、3Dプリンティングの基礎知識をわかりやすく解説します。




1. 3Dプリンティングとは

3Dプリンティングは三次元造形の技術であり、ベースとして用いるのはデジタルデータです。3Dデータを読み込み、セットした材料を一層ずつ形成します。これを何度も層状に積み重ねていくことから、積層造形法とも呼ばれます。後述するように、具体的な造形の手法はいくつかありますが、積み重ねが工程の中心である点は共通しています。

2. 3Dプリンティング技術でできること

自社での活用を検討するうえで、3Dプリンティングが何に使えるのかを理解しておく必要があります。
ここでは具体的な用途を紹介します。

2-1. 意匠確認

3Dプリンティング技術を活用することで、意匠確認の効果や精度を飛躍的に高められます。
企画段階の商品を他者に説明する際、口頭や文章だけでは正確なイメージを伝えられないかもしれません。イラストを用意しておくとその問題をある程度は解消できますが、奥行きや全体のバランスなどはわかりづらいケースもあるでしょう。立体モデルを作成しておくと完成イメージの共有が容易になり、認識のずれを防止できます。
また、デザインに関するプレゼンテーションでは、提案する意匠を3Dで確認してもらえるため、訴求力の向上が見込まれます。さらに企画者自身、平面上のイラストや3DCGではわからない質感や装着感などを確認することができます。

2-2. 試作

一般的に、製造業では試作を重ねながら製品の品質を高めます。
設計や開発などの工程で試作を行いますが、そのたびに長い時間や期間が必要になりがちです。この課題の解決に、3Dプリンティング技術は貢献します。3Dプリンターの活用により短期間で試作品を製作できるため、市場に新製品をいち早く投入することが可能となります。
また、型が不要、かつ最小限の材料で製造できるため、低コストでの試作を実現します。そのため、複数パターンの試作品を同時に造形することや、気軽に何度も試作を繰り返すことが可能です。

2-3. 治工具

製品の多様化が進むにつれ、製造現場で求められる治工具のバリエーションが増えています。
これまで治工具は、現場で手作りすることが多々ありましたが、3Dデータさえ用意できれば早く、簡単に3Dプリンターで製作できるようになりました。
また、生産ラインを立ち上げる際、実際に製造する部品が到着する前に生産ラインを整える必要がありますが、実製品が到着する前に3Dプリンターでダミー品を作ることで、ロボットティーチングにいち早く着手することもできます。このような生産ラインの準備に時間がかかると、製造を開始するタイミングが遅れてしまいます。
治具の製作には切削加工を用いることが多かったため重くなりがちでしたが、3Dプリンターを用いることで軽量化でき、生産ラインの機械や現場で働く方の負荷軽減に寄与しています。

2-4. 建築模型

3Dプリンティング技術は、建築業界において広く活用されるようになりました。
都市開発や建物の建築において、完成イメージを事前に確認することは重要です。しかし、建物を実物のサイズで試作することは、膨大な時間とコストがかかるため現実的ではありません。建築模型を用いるケースが多く、その製作は3Dプリンティングであれば短期間で行えます。設計どおりに再現できるため、建物の内部構造を把握することも容易です。建築の知識がない人でも直感的にわかるので、注文住宅の依頼主との打ち合わせなどに使われるケースも増えてきました。

2-5. 最終製品製作

製品の製造には、金型を使用することが一般的です。
非常に多くのロット数を製造する必要があるため、金型には耐久性が求められます。金型製作は、製品の設計とは別に金型の設計から検討する必要があり、3ヶ月から半年ほどかかります。そのため、金型製作には莫大な初期費用と、製品の生産から生産終了後の金型管理・保管コストがかかります。
3Dプリンターは、このような点を解決するツールです。近年、3Dプリント製品は耐久性が高く、長期間製品として使用できるようになっています。生産量が予測できない製品であっても、必要な数を、必要な時に製造できるため、3Dプリンティングは小ロットの最終製品に重宝されています。
国内での3Dプリンティングの最終製品への適用は、海外に比べて遅れているとよく言われますが、大手自動車メーカーの最終製品にSOLIZEが製作した3Dプリント製品が採用された事例を、2023年9月に公開しました。


3. 3Dプリンティングを活用するメリット

3Dプリンティングが多くの用途に用いられるのは、上述のようにメリットが多いためです。
ここでは特に重要なメリットを3点解説します。

3-1. 開発期間を短縮できる

現代のビジネスシーンは移り変わりが激しく、いち早く市場のニーズに対応しなければ、売り上げを順調に伸ばすことは困難です。新製品のアイデアを思いついても、市場への投入が遅れると大きなシェアを獲得できません。
そこでポイントになるのは開発期間の短縮であり、3Dプリンティングの重要性が高まっています。
3Dプリンティングは、ベースとなる3Dデータさえ用意できれば、すぐに造形に着手できます。短期間で試作できるので、設計や企画といった工程ごとに、実物を手に取って確認することが可能です。どの工程でもスムーズに検証でき、改善を要する点が見つかった際の調整のハードルは高くありません。これにより開発期間を大幅に短縮することができます。

3-2. コストを削減できる

3Dプリンティングを上手に活用することで、コストを抑えることが可能です。
設計やデザインの段階で、製品の詳細を確認できるためです。後工程になるほど、コストはかさみます。それまでの工程を再度実施する必要があり、その分の費用が一気に膨らむためです。
3Dプリンティングにより早い段階で確認できると、潜在的な問題を後に残すことなく、状況に応じて速やかに軌道修正ができます。そのため作り直しが発生しにくくなり、コストの削減につながります。また、作り直しが減ることで開発期間の遅れを防止でき、予定どおりに製品リリースすることで販売機会を逃すリスクを抑えられます。

3-3. 製品の付加価値向上に寄与できる

製品の付加価値を高められることも、3Dプリンティングの大きなメリットです。
試作品を容易に製作できるため、それを参考に創意工夫を重ねることができます。製品の組み立てや検査を試作の時点で行えるので、完成品の品質を予想する精度が高まります。
また、商品企画で優れたデザインを考案しても、従来の金型や製造技術では再現できないケースがあります。製造方法に3Dプリンターを採用することで、デザインを妥協することなく、製品化できる可能性があります。


4. 3Dプリンターで使用できる材料

3Dプリンターの造形方式により、使用できる材料はさまざまです。
造形方式により、形作る手法が異なるため、必然的に使用できる材料が異なるのです。

光造形の場合、樹脂を紫外線硬化させるため、光硬化性樹脂しか使えません。そのため、一般的に光造形の材料は紫外線によって劣化するため、長期使用には向かないというのが定説でした。しかし最近は、長期使用を目的とした材料が開発され始めています。SLA 750Figure 4という3Dプリンターでは、耐候性材料がそれぞれラインアップされています。ほかにも、熱変形300℃の高耐熱材料や、UL94 V0グレードの難燃性材料などがあります。

粉末造形の場合、熱可塑性樹脂を使用するため、基本的にはナイロン系やPP材料がメインにラインアップされています。靭性・強度があるため、試作品の中でも耐久性が必要な試験に使われることが多く、少ロットの最終製品にも適用されるようになっています。
熱溶解積層方式(FDM)の場合、基本的にはリール状に巻かれたフィラメントが基本となりますが、最近は量産材と同じ材料、つまり射出成形のペレット材が使用できるTitan Pelletという3Dプリンターが出てきています。汎用的なABSやPCだけでなく、スーパーエンプラのPPSやPEEKなど、シリンダー温度を高温にしなければならない材料でも熱溶解積層方式の3Dプリンターで扱えるようになってきました。
また、循環型社会の実現に向け、製品の製造時に出た廃材をリサイクルペレット材料にし、そのペレット材を試作品製作のため3Dプリンターで再利用するといったサイクルも実現できるようになっています。

5. 3Dプリンティングの手順

3Dプリンティングで最初に必要なことは、3Dデータを作成することです。
3Dプリンターで使用するデータ形式はSTLやOBJが中心となりますが、3Dデータ作成でおもに使われる3DCGや3D CADは、フォーマットが3Dプリント用のものとは異なります。従って、そのままでは造形に使用できないため、3DCGや3D CADからデータを出力する際に3Dプリント用のフォーマットに変換する必要があります。
次に、3Dプリンターで造形するため、3Dプリンターに付属しているソフト等を使い、造形方向やレイアウトを決定し、必要に応じてサポート構造の編集を行います。その後、3Dプリンターで造形ができるようにデータをスライスします。
そして、3Dプリンター用に編集したデータを3Dプリンターに送信して、造形します。
造形物が生成された後、仕上げとして後処理が必要です。主要な後処理は、造形物の乾燥や洗浄、サポート材の除去、研磨処理などが挙げられますが、必要な後処理は造形方式により異なります。


6. 3Dプリンターの造形方式の種類

3Dプリンターの造形方式はいくつかあるため、自社の目的に適したものを選ぶことが重要です。ここでは代表的な5種類を紹介します。

6-1. 光造形方式

光造形方式とは、光硬化タイプの液体樹脂を用いて立体物を生成する方法です。
人工的な紫外線を液体樹脂の層に照射して硬化させていきます。
特長は微細な造形ができることで、デザインを細部まで再現したい場合に最適です。完成した造形物の表面は比較的滑らかなので、粉っぽさやざらつきが気になる場合は光造形方式がお勧めです。ただし、光造形の装置により造形に時間がかかる場合があります。

6-2. インクジェット方式

インクジェット方式とは、紫外線で硬化性の樹脂を固めて造形する方法です。
光造形方式との違いは、樹脂をインクのようにノズル(プリントヘッド)から噴射する点です。インクジェットプリンターのインクを樹脂に置き換えて考えると、造形の挙動をイメージしやすいでしょう。一層ごとに噴射して紫外線で固めながら積層する仕組みとなっています。
仕上がりのクオリティは高く、高精細な再現と表面の滑らかさが魅力です。加えて、高解像度のカラーで製作できる機種もあります。
一方、完成した部品の耐久性は低く、長期使用する物品の製作には適していません。

6-3. 熱溶解積層方式

家庭用3Dプリンターで主流となっているのが、熱溶解積層方式です。
ABSやPLAなどの材料を融解させて、細いノズルから吐出させます。家庭用として多く使われていることから見て取れるように、粉や液体材料を使用しないため、使い勝手のよい方式と言えます。
装置価格、材料共に比較的安価なものが多いことや材料ラインアップの豊富さが普及を後押ししています。
なお、そのトレードオフとして、再現性が十分といえないケースも見受けられます。造形途中で反りが生じやすく、寸法精度を出しづらい点が課題です。利用する場合は、完成品の表面が粗いことを理解しておく必要があります。

6-4. 粉末燃結方式

粉末燃結方式とは、粉末状の材料に高出力のレーザー光線を照射して焼結する方法で、英語表記の「Selective Laser Sintering」を略してSLSと呼ばれています。
サポート材が不要なため、内部流路があるような複雑な造形に容易に対応できます。耐久性の高さが特長で、長期使用する物品の製作に選ばれることの多い方式です。
一方、完成品の表面が粉っぽい点に注意しなければなりません。形状を重視するのであれば問題ありませんが、滑らかな質感が必要な場合には他の造形方式を検討した方がよいでしょう。

6-5. 結合剤噴射法 / BJT(Binder Jetting)粉末固着方式

結合剤噴射法とは、文字どおり材料の粉末を接着剤で固めていく方法です。
粉末の層の上に接着剤を印刷し、それらを積み上げていきます。仕上げの際に強度を高める目的で、硬化用の液体を用いるのが一般的です。石膏やプラスチックの粉末を使用するため、材料費を安価に抑えられます。造形スピードが速く、着色を済ませた粉末を使用すれば、フルカラー印刷が可能です。
ただし、衝撃に弱く破損しやすいので、完成品の取り扱いには注意が必要です。

7. 3Dプリンティングを注文するならSOLIZE

3Dプリンティングを注文するなら、SOLIZEを選択するのが得策です。
SOLIZEは3Dプリンターを日本で初めて導入した会社であり、3Dプリンティングのノウハウが数多く蓄積されています。材料のラインアップも充実しており、材料により注文から最短3日後の発送が可能です。また、3Dデータをアップロードするだけで見積りはもちろん、発注までのプロセスがすべてオンラインで完結します。
注文前にWeb上で造形再現性を確認でき、造形前にはSOLIZEの担当者がしっかりとデータを確認しているので、3Dプリンティング初心者でも気軽に注文しやすくなっています。

3Dプリンティングの上手な活用により、試作段階で細部までの検証ができるようになります。そこで得た知見をもとに、製品のブラッシュアップを試みることが重要です。短期間かつ低コストで試作品を製作できるため、自分が納得できるまで徹底的に繰り返すことが可能です。
また、近年の技術進化により、最終製品を3Dプリンターで製作することが可能となっています。
売り上げアップを望むなら、3Dプリンティングを活用して、開発効率や生産品質の向上を目指しましょう。





筆者情報




  • SOLIZEオンライン3Dプリント お役立ち情報編集部


  • SOLIZEの3Dプリンター事業に従事する社員が、3Dプリンターの基礎知識や活用方法、活用例など、3Dプリンターに関する情報を発信します。





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