この記事では、3Dプリンターの表面処理とは何か、代表的な処理方法の種類、そして光造形・粉末造形・インクジェットUV硬化といった造形方式ごとの仕上がりの違いを比較しながら解説します。あわせて、目的別におすすめの表面処理の選び方もご紹介します。
3Dプリンターの表面処理とは
3Dプリンターの表面処理とは、造形後の3Dプリント品の表面をなめらかにしたり、色や質感を整えたりするための後加工のことです。
3Dプリンターは材料を層状に積み重ねて形状を作るため、程度の差こそあれ「積層痕」と呼ばれる段差や、材料特有のザラつきが表面に残ります。表面処理は、この積層痕やザラつきを目立たなくし、見た目・手触り・機能性を向上させる工程です。
表面処理が必要になる主な理由は次の3つです。
- 意匠性の向上:デザイン確認用のモックアップや展示用サンプルなど、見た目の完成度が求められる用途で仕上がりを良くする。
- 機能性の付与:耐水性・耐候性・耐薬品性などの性能向上や、摺動部の摩擦低減などの機能追加。また、表面の平滑化によるクラック発生の抑制や強度向上につながる場合もある。
- 後工程への準備:塗装やメッキ、組み付けの前工程として、表面の平滑度や密着性を整える。
なお、表面処理は造形精度そのものを向上させる工程ではありません。積層時の反りや欠け、段差などの形状不良については、3Dプリンターの造形物がガタガタになる原因で詳しく解説しています。また、高品質な造形を実現するためには設計段階での配慮も重要なため、3Dデータ作成のポイントもあわせてご覧ください。
3Dプリンターの主な表面処理方法の種類
3Dプリンターの表面処理には、いくつかの代表的な方法があります。それぞれ効果とデメリットが異なるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。
| 処理方法 | 主な効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| サポート痕の除去・磨き | サポート除去跡を整え、外観品質を向上させる | 光造形・FDM方式など、サポート材を使う方式で発生する工程 |
| 研磨(サンディング) | 積層痕を削って滑らかにする。 | 手作業の場合は時間がかかる。粉塵対策が必要 |
| 蒸気平滑化(溶剤による表面溶解) | 表面を短時間で滑らかにし、光沢を出せる | 対応材料が限られる。微細形状や鋭角部が丸くなる場合がある |
| 塗装 | 色・質感を自由に変えられる。傷や色ムラを隠せる | 下地処理(プライマー等)の手間がかかる。塗膜の厚みで寸法が変わる |
| コーティング(クリア塗装・樹脂含浸など) | 耐水性・耐候性・気密性の向上、表面保護 | 材料との相性を確認する必要がある |
| メッキ(金属めっき) | 金属のような質感・導電性を付与できる | 対応できる材料・形状に制限がある。コストが高め |
これらは単独で使うこともあれば、「研磨してから塗装する」のように組み合わせて使うこともあります。どの処理が向いているかは、次章で解説する造形方式によっても変わってきます。
造形方式別に見る表面処理の違い
3Dプリンターにはいくつかの造形方式があり、方式によって素の状態の表面品質や、相性の良い表面処理が異なります。ここでは代表的な3方式で比較します。
光造形(SLA・Figure 4®)の表面処理
光造形は液状の樹脂を紫外線で硬化させる方式で、他の方式と比べて積層痕が目立ちにくく、もともと滑らかな表面が得意です。研磨との相性が良く、番手を上げて磨き込むことで透明度の高いパーツをよりクリアに仕上げることもできます。サポート材が付くため、除去した跡を磨いてならす「サポート痕磨き」が定番の後加工です。より詳しい磨き方の手順は光造形3Dプリンターの表面仕上げを完全ガイドでも紹介しています。
粉末造形(SLS・HP Jet Fusion)の表面処理
粉末樹脂をレーザーや赤外線で焼結する粉末造形は、サポート材が不要な一方、素の表面はざらざらとした質感になりやすい方式です。強度・靭性に優れるため機能部品や治具に向きますが、意匠性を求める場合はバレル研磨や塗装による仕上げが効果を発揮します。
インクジェットUV硬化の表面処理
インクジェットでアクリル樹脂を吹き付けて硬化させる方式で、微細な形状の再現性に優れています。積層段差が目立ちにくい反面、光造形と同様にサポート材が付くため、除去跡の処理が仕上がりを左右します。
造形方式別の表面処理相性まとめ
| 造形方式 | 素の表面の特徴 | 相性の良い処理 |
|---|---|---|
| 光造形(SLA/Figure4) | なめらか、積層痕が目立ちにくい | サポート痕磨き、研磨、クリア塗装 |
| 粉末造形(SLS/HP Jet Fusion) | ざらざらしている | 研磨、塗装 |
| インクジェットUV硬化 | 微細形状の再現性が高い | サポート痕磨き、研磨 |
どの造形方式が向いているか迷う場合は、3Dプリンターの造形方式一覧で各方式の特徴を比較することもできます。
目的別におすすめの表面処理の選び方
表面処理は「何を優先したいか」によって選ぶべき方法が変わります。
見た目(意匠性)を重視する場合
展示用モックアップやデザイン確認用サンプルなど、見た目の完成度を重視する場合は、研磨による下地作りと塗装の組み合わせがおすすめです。透明パーツであれば、研磨後にクリアコーティングを施すことで透明感を高められます。
強度・耐久性を重視する場合
屋外での使用や長期利用を想定する場合は、コーティングによる耐候性・耐水性の付与を検討します。素材選びの段階から高強度・高靭性の材料を選んでおくことも重要です。材料ごとの強度や耐熱性は材料ラインアップで確認できます。
コスト・納期を重視する場合
試作段階で形状確認のみが目的であれば、無理に表面処理を追加せず、素の状態(未処理)で発注するのがもっともコストと納期を抑えられます。必要な処理を絞り込み、量産前の最終確認用パーツのみ仕上げるといった使い分けも有効です。
SOLIZEオンライン3Dプリントでできる表面処理
SOLIZEオンライン3Dプリントでは、光造形でご発注いただいた造形品について、サポート材除去後の跡を紙やすりで磨いて滑らかにする「サポート痕磨きオプション」をご用意しています。仕上がりの質感を高めたい場合や、組み付け前の下地を整えたい場合にご活用いただけます。
また、その他の表面処理に関してご希望がある場合、3Dデータをアップロード後、お問い合わせよりご相談ください。
SOLIZEオンライン3Dプリントでは、お客さまのご要望に柔軟に対応できるよう体制をととのえています。
3Dプリンターの表面処理にかかる費用の目安
表面処理にかかる費用は、処理方法・造形品のサイズや形状・数量によって大きく変わります。研磨やサポート痕磨きのようなオプション的な処理は比較的追加費用を抑えやすい一方、塗装やメッキなど専門工程を伴う処理は、色数や下地処理の手間に応じて費用が加算される傾向にあります。
正確な費用は形状や仕上げの希望によって変動するため、3Dデータをアップロードしたうえで個別に確認するのが確実です。実際の3Dプリント自体の価格例は価格・納期についてのページでも紹介しています。
実際の見積り金額が気になる方は、3Dデータをアップロードするだけで最短3分の自動見積りが可能です。
よくある質問
Q. 表面処理をすると寸法は変わりますか?
研磨や塗装、コーティングは、いずれも表面にわずかな厚みの変化をもたらすため、寸法に影響する場合があります。組み付けなど寸法精度が重要なパーツでは、事前にクリアランスを考慮しておくことをおすすめします。
Q. 表面処理をしないとどうなりますか?
未処理のままでも、形状確認や機能検証といった用途では問題なく使用できます。意匠性や耐久性を特に求めない試作であれば、無処理で発注することでコストと納期を抑えられます。
Q. すべての材料で同じ表面処理ができますか?
いいえ、材料や造形方式によって適した処理方法は異なります。とくに溶剤を使う蒸気平滑化などは対応材料が限られるため、事前に材料の特性を確認する必要があります。
Q. 表面処理は自分で行うこともできますか?
研磨程度であれば個人でも可能ですが、粉塵や溶剤を扱う工程は健康・安全面の配慮が必要です。均一な仕上がりや専門的な処理を求める場合は、造形から表面処理までまとめて依頼できるサービスの活用も選択肢になります。ぜひSOLIZEオンライン3Dプリントにご相談ください。
お問い合わせはこちら
Q. サポート痕はどの造形方式でも発生しますか?
サポート材を使う光造形・インクジェットUV硬化方式で発生します。粉末造形はサポート材が不要なため、この工程は基本的に発生しません。
まとめ
3Dプリンターの表面処理は、研磨・塗装・コーティング・メッキなど複数の方法があり、造形方式によって相性の良い処理が異なります。見た目を重視するのか、強度・耐久性を重視するのか、あるいはコストと納期を優先するのか、目的に応じて処理方法を選ぶことが仕上がりの満足度を左右します。
まずは造形方式や材料の特性を理解したうえで、必要な表面処理を見極めることが失敗しないポイントです。
SOLIZEオンライン3Dプリントについて
「SOLIZEオンライン3Dプリント」は、最短3分でお見積りから形状の再現性の確認、発注までをオンラインで完結できる3Dプリント出力サービスです。
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SOLIZE PARTNERSは、1990年に日本で初めて3Dプリンターを導入し、試作品製作サービスを開始したパイオニア企業です。
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